出版文化社 共同出版事業部

あ行
  1. 委託販売制度(いたくはんばいせいど)

一定期間(通常は半年間)書店に書籍を並べることができる制度。書店に販売を委託することから「委託」の言葉が用いられる。売れなければ返品が認められているが、何度でも書店に並べることもできる。通常の新刊はこの方式で配本される。

 

  1. 色校正(いろこうせい)

印刷会社への下版後、印刷物の色の出方を確認する作業。二色以上のインクを使って印刷する場合に行われる。

 

  1. 印税(いんぜい)

発行人から著作者やイラストレーターなどに支払われる売上の一部のこと。発行部数に定価の10%を掛け合わせた金額が一般的である。

 

  1. 奥付(おくづけ)

本の最終ページに記載されている書誌情報のこと。
タイトル、発行・重版・増刷年月日、著者・発行所・発行者名、発行所連絡先、発売所・印刷所・製本所名、ISBNコード、著作権者(Cマーク)などが明記される。

 

  1. 帯(おび)

キャッチコピー、目次、本文の抜粋、推薦文などを記載し、カバーの上にかけられた用紙。主として、宣伝目的で巻いている。帯紙、腰巻と呼ばれることもある。帯の幅はもちろん、記載内容や、帯の有無なども規定はない。

 

か行
  1. 買い切り(かいきり)

売れ残っても返品できない出版物のこと。再販制度の下ではほとんど買い切り扱いとなることはない。

 

  1. 拡材(かくざい)

販売を拡大するためのポスターやPOPなどの宣伝物。

 

  1. 既刊本(きかんぼん)

すでに刊行された本。⇔新刊本

 

  1. 期限切れ(きげんぎれ)

委託販売商品の返品期限が切れること。期限が切れると、書店は取次に書籍の代金を支払うことになるため、委託期限が切れる前に返品が増えることとなる。

 

  1. 逆送(ぎゃくそう)

返品不可の書籍を取次が書店に送り返すこと。書店の注文(店注・補充注文)に多い。

 

  1. 客注(きゃくちゅう)

顧客からの注文のこと。書店の一般注文(店注・補充注文)とは異なり、店頭での陳列目的の書籍ではないので、基本的には返本されることはない。

 

  1. 組版(くみはん)

完成原稿を印刷所に入稿する版に整える作業のこと。版下の作成作業。DTPとも言う。

 

  1. 下版(げはん)

版元(発行人)が印刷会社に完成データを持ち込むこと。または印刷上の工程で色校正を終了した版を製版・印刷などの工程に移すこと。

 

  1. 献本(けんぽん)

書籍を無償で提供すること。

 

  1. 校閲(こうえつ)

書かれた文章そのものが正しいかどうか、事実関係をチェックし、誤りを正すこと。

 

  1. 校正(こうせい)

原稿と校正紙を照合しながら、間違いがないか確認する作業。

 

  1. 校了(こうりょう)

制作のすべてのプロセスを終え、版が完成した状態。印刷をしても良いという状態。もしくは印刷の工程にある色校正などが終了した状態。

 

さ行
  1. 再販制度(さいはんせいど)

正式名称は再販売価格維持制度。全国のすべての書店が、出版社が設定した定価を維持して書籍を販売する制度。書籍及び雑誌は、独占禁止法で再販行為を容認されている。

 

  1. 三八(さんやつ)

一面三段八つ割りの略で、新聞一面の最下部にある名刺大の書籍専用広告スペース。下3段を8等分したスペースのこと。書籍広告以外は掲載されることはない。

 

  1. 指定配本(していはいほん)

出版社が書店にファックスを送ったり、訪問営業をして得た注文に従って、取次が配本する仕組み。委託販売の下では、書籍が指定通りに配本されたとしても、委託にカウントされる。

 

  1. 品切れ(しなぎれ)

在庫切れ。書店に書籍を配本することができない状態。版は保存されているので、増刷され、再度流通する可能性がある。

 

  1. 重版(じゅうはん)

版を重ねること。→増刷

 

  1. 出版VAN(しゅっぱんばん)

書籍の円滑な流通のためにつくられたネットワークのこと。出版社と取次会社の間で在庫情報や受発注情報などを共有している。

 

  1. 正味(しょうみ)

定価に対して出版社が手にすることのできる割合のこと。定価1,000円の本に対して、正味6掛といった場合の卸値は600円となる。書店と取次の間でも使われる。

 

  1. しょたれ

汚れ・破損などで商品価値が下がり、返品不能となった本。

 

  1. 初版(しょはん)

最初に印刷した版のこと。その版で刷った印刷物を初版本と言う。

 

  1. 書評(しょひょう)

書籍の内容を紹介した記事。メディアの影響力によっては、広告より効果があるとも言われる。

 

  1. 新刊委託(しんかんいたく)

新刊本を書店で一定期間委託販売すること。

 

  1. スリップ

売上カードとも言う。書籍の間に挟んである短冊。書名、著者名、ISBNコード、定価、発行所、発売所等の情報が記されている。

 

  1. 責任販売制(せきにんはんばいせい)

従来の委託販売と比較して、書店は安く仕入れられるが、返本の際の条件が厳しくなる制度。書店には売れた際の利益が大きくなり、出版社には返本率が低くなるというメリットがある。

 

  1. 責了(せきりょう)

責任校了の略。修正箇所が少なく、修正の責任を印刷会社が持つことを前提に、印刷物の発注者や発行人が校了すること。

 

  1. 絶版(ぜっぱん)

出版物の版( 印刷用のデータやフィルム)を廃棄処分すること。絶版になった出版物は通常再販されることはない。

 

  1. 全五段(ぜんごだん)

書籍広告によく使われる新聞広告のサイズ。新聞中面の下部5段すべてを使ったサイズ。

 

  1. 増刷(ぞうさつ)

本が完売したり、在庫が少なくなった時に改めて印刷すること。増し刷りとも呼ばれる。→重版

 

  1. 装丁(そうてい)

表紙、カバー、帯などのデザインのこと。書籍の売れ行きを大きく左右するため、発行人にデザインを決定する権利がある。

 

  1. 即返品(そくへんぴん)

書店が委託品を陳列せずに返品すること。「そくへん」とも言う。

 

た行
  1. 台割(だいわり)

書籍全体のページをどのように割り振るかを示した一覧表のこと。ちなみに出版物は通常16ページを一単位に印刷されていて、その単位を「台」と呼ぶ。

 

  1. 棚卸(たなおろし)

決算時に、在庫商品の種類、数量、金額などを一定の基準に従い調査すること。

 

  1. 棚差し(たなざし)

背表紙を見せて書店棚に陳列をすること。書籍の大半は各一部の棚差しとなる。

 

  1. 注文短冊(ちゅうもんたんざく)

主に書籍1冊ごとに挿入されているしおり状の注文書のことで、売上カードとも呼ばれ、売上データの管理に利用されることが多い。「スリップ」とも言う。

 

  1. 帳合(ちょうあい)

書店が本を仕入れる取次会社のこと。トーハンと日販で全体の80%を占めると言われている。契約していない取次から本を入れることはできない。

 

  1. 長期委託(ちょうきいたく)

既刊本をセットにして販売する場合、一定期間委託販売する方が出版社・書店の双方にとって有利となることから、とられる委託方法。4カ月、6カ月が一般的。

 

  1. 直販(ちょくはん)

出版社が取次や書店を仲介しないで、直接読者に販売すること。近くに書店がないなどの理由で購入を希望する読者のために行われることが多い。

 

  1. 陳ビラ(ちんびら)

簡単な書籍の宣伝をした細長い形のポスター。

 

  1. 定価(ていか)

消費税を含めた書籍の価格。書籍の裏表紙に明記する必要がある。ちなみに本体価格は通常税別価格。ISBNコードには税別価格が明記されている。

 

  1. 扉(とびら)

本扉と章扉に分けられる。本扉は見返しの内側にあり、書名、著者名、発行所名などを記してあるページ。本文と同じ書籍用紙を用いる場合と、別の用紙で本文と区別している場合とがある。章扉は各章の間を区切っているページ。ほとんどの場合、本文用紙が利用されている。

 

  1. 取次(とりつぎ)

出版社と書店をつなぐ流通業者。約3,500社の出版社と約8,000店の書店を20社程度の取次がつないでいることから、ひょうたん型流通とも呼ばれる。

 

な行

  1. 二次使用(にじしよう)

単行本形式で流通していた書籍を、文庫本等で再度流通・販売すること。近年は単行本から電子書籍等へ二次使用されるケースが増えている。

 

  1. 入稿(にゅうこう)

原稿や版下を次の工程に回すこと。下版との明確な使い分けはないが、下版は印刷所に版下を渡す場合に用いられる。

 

  1. 延勘(のべかん)

即請求に対して支払期間を延ばすことを延勘と言う。3カ月延ばす三延(さんのべ)が一般的。

 

  1. ノンブル

本のページの順序を示すナンバー。ページづけ。

 

は行
  1. 発行所(はっこうじょ)

出版社。著作権者により版権を設定された者。書籍制作と販売流通に関する責任を有する。

 

  1. 発行人(はっこうにん)

出版社の代表者。もし発行物に何かあったらすべての責任をとる最終責任者のこと。

 

  1. 発行日(はっこうび)

書籍が完成し書店に並ぶ日とされている。物流が発達していなかった当時、書店に並ぶまで1カ月程度かかることもあり、完成日より先に設定されるようになった。また、一般的に書籍は、委託期間が過ぎると取次から書店へと請求が立つため、書店は売れ残った本を請求が立つ前に返品しようとする。発行日が遅いほど返品されるのが遅くなる(棚に並び続ける)ため、出版社は発行日を遅らせるようになったと言われる。なお、販売期間が限定される雑誌は、最新刊であるということをアピールし、購買意欲を掻き立てるために、通常発行日を大幅に遅らせることが常識化していた。そこで日本雑誌協会では、週刊誌は15日先まで、月刊誌は40日先までという協定を結んでいる。

 

  1. 発売所(はつばいじょ)

書店等への発売を担当する者のこと。通常は発行所と同義で出版社がその役割を果たすが、取次と口座を開設しておらず、販売機能を持たない出版社(発行所)が、販売専門の業者に委託する方法もある。

 

  1. 半五段(はんごだん)

書籍広告によく使われる新聞広告のサイズ。新聞中面の下部にあるA5サイズ程度の広告。全五段の半分。

 

  1. 版下(はんした)

出版物を印刷する際の素材のこと。現代ではデジタルデータでやり取りされることが多い。版とも言う。

 

  1. 番線(ばんせん)

取引書店を地域ごと、ルートごとに区分し番号化したもの。販売店の配本のための整理番号が印されている。

 

  1. 版元(はんもと)

出版社の俗称。

 

  1. 表紙陳列(ひょうしちんれつ)

棚で表紙を見せて陳列すること。顧客へのアピール度が大きい。面陳(めんちん)とも言う。平台陳列についで露出効果は高い。

 

  1. 平台陳列(ひらだいちんれつ)

棚を使わず平面の台に表紙を見せて陳列する方法。平積みとも言う。一般的な陳列の中ではもっとも効果的と言われる置き方。

 

  1. 本体価格(ほんたいかかく)

税別価格。書籍単体での価格。

 

ま行
  1. 見返し(みかえし)

表表紙・裏表紙の内側に貼り付けて、本の中身と表紙をつなぎ合わせている紙。色上質などを利用し、他の書籍用紙と区別されている。

 

ら行
  1. 落丁(らくちょう)

製本上のミスで、ページの一部分が抜けて製本された本。

 

  1. 乱丁(らんちょう)

製本上のミスで、ページの順序が違ったり、上下が逆になって製本された本。

 

欧字・数字
  1. Cコード

書籍のジャンルを示す図書分類コード。C以下4桁で表示される。

 

  1. (C)マーク

Copyrightの略。著作権の所有者を示す。(C)以下に著者名のフルネームをローマ字で表記する。

 

  1. CTP

Computer to Plate の略。ダイレクト刷版とも言う。DTPで制作された印刷データを、プレートセッターという機器で直接刷版にして出力すること。フィルム出力の工程がカットされ、短納期化やコスト削減につながり版の精度も向上したとされる。これにより、印刷所は版をフィルムで保管するのではなく、データで保管するようになった。

 

  1. DDCP

Direct Digital Color Proofing の略。コンピュータ上で作成したカラー印刷データを、直接、デジタルで、色校正を作ること。出力するハードウェアは通常「カラープリンター」と呼ばれる。刷版を CTP で行うと、フィルムを利用しないため、デジタルによる色校正、つまりDDCPが利用される可能性が高い。

 

  1. DTP

Desktop Publishing の略。卓上出版を意味し、出版物の割付作業をコンピュータ上で行い、出力をすること。現在はほぼ100%この制作方法がとられている。

 

  1. EPUB3

電子書籍の規格の1つ。IDPF(国際電子出版フォーラム)によって承認された電子出版の標準フォーマットの最新版である。

 

  1. ISBNコード

International Standard Book Numberの略。イギリスから始まった国際的な図書コード。書籍の注文や在庫管理などのデータ処理に用いられる。日本でも1981年から採用、2007年に10桁から13桁の数字に変更された。書籍の裏表紙や奥付に記載されている。

 

  1. JANコード

Japanese Article Numberの略。量販店などの国際規格コードEANの日本版。書籍JANコードは、書籍の外側に付いているバーコード。日本図書コードとの整合性を保つために上下2段とし、上段に ISBN コード、下段にCコード(図書分類コード)、本体価格が含まれる。

 

  1. POP(ポップ)

販売促進のための展示物。出版社や取次が用意するものもあるが、やはり書店員手書きの POP の効果は大きい。

 

  1. RGB

コンピュータで色を表現する方法の1つ。光の三原色、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の組み合わせで色を表現する。出版業界では1998年にがアドビが策定したアドビRGBが一般的に利用されている。他のRGB規格より広い色域を表現できることが特徴。印刷時には4色(CMYK)に変換する必要があるが、4色は RGB に比べ色域が小さいため、印刷物になった時点で色の出方が違うといった事故となることが多い。

 

  1. 4C

4 colors の略で、カラー印刷のこと。C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクで出力するため、一般的には4色もしくは CMYK と呼ばれる。